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PHOTO SQUARE #新風館 イベントレポート
2016年4月22日
PHOTO SQUARE #新風館は、写真を見る・撮る・飾る・贈るなどさまざまな楽しみ方に触れることの出来るイベントとして、新風館にて開催されました。 会期を通して沢山の方にご来場いただき、様々な形で"写真をする"をお届け出来たと考えております。 そんなPHOTO SQUARE #新風館を写真とともに、振り返りたいと思います。
1.ギャラリーセレクトの写真作品
いまや写真は、美術品としてもコレクションの対象になるなど、アートの世界でも通じる作品として、美術館やギャラリーで取引されています。イエローコーナーのように、身近なかたちで写真作品の販売がされるなど、写真がまるで絵画のように、飾る対象として普及してきています。
写真作品が飾られる空間や場所って素敵ですね。
そのような中、PHOTO SQUARE #新風館ではギャラリーセレクションの写真作品を展示・販売しました。普段はギャラリーでしか見ることのない写真作品がショップに並ぶと、印象も違って見えます。それぞれのテイストや特色が出ていて、バラエティ豊かな写真作品がならびました。額裝したスタンダードな作品や、透明感があってモダンなアクリル仕上げの作品、日本の伝統工芸を取り入れた形の掛け軸の作品など、写真は最終的な仕上げで、多様な表現ができると再確認しました。
コレクションとして住宅やオフィスやアトリエなどに飾って頂いたり、贈り物にもぴったりかもしせませんね。
2.PHOTO BOOK MARKET
10年前にくらべて、写真集の出版数は何倍もの数になっているそうです。
印刷技術や流通の発展もさることながら、写真家にとって写真集は作品の集大成であり、
ストーリーを見せる最適な方法であることなど、写真と本の関係はベストマッチと言えます。
PHOTO SQUARE #新風館では、写真集専門の出版社から美術書出版社、
大手から個人までの写真集を取り揃えました。
ハードカバーで重厚な大型本は内容も密度も濃く、見応えが十分あります。
手に取りやすいB5やA4の個性豊かな写真集は最も多かったです。
一方、個人作成の個性的なzineやリトルプレスはスピード感と製本の自由さが魅力でした。
作品に比べ購入しやすい価格帯の写真集は、1冊で沢山の写真を見る事が出来てます。
写真を始めたばかりの方にも入りやすいコンテンツとして、多くの方にご購入いただきました。
3.CAMERA MARCHE
日本人はカメラが好きです。なぜでしょうね(笑)
クラシックカメラは、製造から何十年の時を超えて未だに写真を写すことができます。
それは機械としての完成度の高さを物語っています。
今は少し、フィルムも高くなってしまいましたが、
ちょっと特別な時にカメラにフィルムを詰めて、デジタルには無い味のある写りや、
1枚1枚を大事にする、そのような時間を切り取る事ができるクラシックカメラを販売しました。
京都写真クラブや個人コレクターさんの商品提供により、
フィルムのクラシックカメラを販売しました。
初めてフィルムカメラを使うという方には、スタッフがフィルムの詰め方から丁寧にレクチャーし、
沢山の方にカメラをご購入頂きました。
とっておきのフィルム写真を楽しんでいただけましたら嬉しいです。
4.スペシャルトークイベント
3/6(土)にスペシャルイベントとして2つのトークショーを行いました。
〈第1部〉セイリー育緒氏(FCR kyoto) ゲスト:松井貴之氏(photolabo hibi)
『今さらフィルム、今さらキカイ式、今さらチョートク』というちょっぴり挑発的なタイトルのトークでは、両氏によりフィルム写真の魅力を語り尽くしました。写真家でありカメラ修理士であるセイリー育緒氏は、会場にも写真作品と著書をならべ、自身の作品を通してフィルム写真の魅力について、二条にあるプリントラボ photolabo hibi の松井貴之さんはプリントラボならではのフィルム写真の楽しみ方を熱くお話しになれました。
セイリー育緒氏は4/22〜5/22の期間中、京都ホテルオークラにて額縁のヤマシタとのコラボによる写真展を開催。(詳細はこちらをご覧ください)
松井氏は来る4月23日より開幕されるKYOTOGRAPHIE 国際写真展にて「写ルンです(富士フィルム)」を屋台にて移動販売されるなど、フィルム写真の楽しみ方をさまざまな形で提案するなど、プリントショップに留まらない活動を続けています。
〈第2部〉田中長徳氏 × セイリー育緒氏トークショー
FCR kyoto と「佃日記」を出版した大隅書店の協力により、スペシャルイベントとして田中長徳トークイベントを開催しました。大隅書店より出版された「佃日記」について、長徳氏の写真家としての作品について、ライカについて、フィルム銀塩やデジタルの話など、話し相手のセイリー育緒氏との息もぴったりで、期待を裏切らない長徳さんのトークは終始笑いがたえませんでした。後半よりは大隅書店の大隅直人氏も参戦して佃日記について真摯にお話しされました。佃日記は辞書のように分厚い造りで、必ずしも写真について書かれている訳ではないのに、どこか写真の香りがする、味わい深い随筆です。ふとした時にどこかのページをめくれば、あの頃の空気に浸れるような心地よい文章に出会えます。
60名を超える入場者を数えたトークは大盛況のうちに終わりました。
5.写真家 澄毅の個展
PHOTO SQUARE #新風館では、特集としてパリ在住の若手日本人写真家 澄毅の新作写真展を開催しました。
澄毅の紹介
キャノン写真新世紀などで入賞し、リブロアルテより写真集を出版するなど日本でも活躍した澄毅は、2年前より新天地パリへ活動の拠点を移しました。藝術の都と称されるパリで、彼が得たものは確実に作品に反映され、より美しくより確信的で強度のある作品へと確実にレベルアップしていました。
澄毅が近年取り組んでいる、写真プリントのうえにカッティングによるスリットを加えた作品は、写真という複製メディアを唯一無二の美術作品へと昇華させています。澄毅はもともと、ストレートな写真と穴空けなどの2次加工をした写真を混ぜ、現実と非現実を融合させ、さらにファウンドフォトなどを使用し、現在と過去を光を通して繋げ、独自の世界観を紡ぎだす作品を制作していました。
今展で発表した、プリントにカッティングを施したシリーズはその初期作品をより深くし、完成度を高めたものへとレベルアップしています。その1筋1筋に施されたスリットは角度により輝きを変え光を放ち、カットには念が込められ、多くの方が感嘆の声を上げ作品に釘付けになっていました。会期中には、澄毅さんの凱旋トークイベントも開催され、その作品について熱く語って頂きました。久しぶりにお会いした澄毅さんは、気合いと逞しさが充実し、今後益々活躍していかれると確信しました。
<作品データ>
アーカイバルピグメントプリント(328×453 mm)/額裝仕上げ/ Unique Edition
※PHOTO SQUARE 新風館で展示しました澄毅 作品(大型作品を除く)は6月より1ヶ月程度galleryMainのgallery shop コーナーにて展示販売致します。
カフェコーナー
写真とコーヒーは相性がいいですよね。コーヒーを飲みながら写真の話をしたりカメラを触ったりする時間は至福の時間です。PHOTO SQUARE #新風館では大山崎コーヒーさんの提供によりコーヒースポットを設置。ゲストハウスパンとサーカスのスタッフさんや個人のコーヒー職人さんがドリップしてくれたコーヒーを片手に、みなさんが写真の話に花を咲かせていました。ほっとできる間があるだけで、その空間は彩りと柔らかい雰囲気に包まれます。
まとめ
飾る・見る・撮る・読むなど写真への接し方は様々で、写真を目にしない日はないほど写真は身近な存在になりました。PHOTO SQUARE #新風館はそんな"写真をする"みなさんが交差する広場となればと思い企画された多角的に写真を楽しむための期間限定ショップです。会期を通して沢山のご来場いただき多くの人と写真の出会いが生まれたと思います。
写真を飾りましょう、写真集を開きましょう、カメラを持って写真を撮りましょう、写真と出会いましょう、とてもシンプルなそんな提案がしたかったのです。初開催のイベントだったため至らぬ点もあったかと思いますが、運営側としてなにかひとつでも写真をお届け出来ていれば嬉しく思います。毎日、新風館のショップに立ちながら皆さんが写真を見たり話したりしている様子を見るのはとても贅沢で幸せな時間でした。
2016年3月末をもって取り壊しが決まっていた新風館、その最後期のイベントとして開催することができたのも感慨深いものがありました。現在進行形で変化し続ける写真の可能性はまだまだ発展途上であり、その楽しみ方は在り方も変化していきます。しかし根本的な写真というメディアが持つ魅力はきっと普遍なような気がします。
PHOTO SQUAREはこれからも写真を楽しむ皆さまの接点となれればと考えています。写真の情報をお持ちの方はPHOTO SQUAREに情報をお寄せ下さい。誰かに届けるご協力ができるかと思います。
これからも"写真をする" みなさまの接点となるべくPHOTO SQUAREは活動を続けていきます。ご支援のほどよろしくお願いします。
OSAKA culture web magazine VOICE、ギャルリ・キソウ(大阪)、ギャラリー・アビィ(大阪)、The Third Gallery Aya(大阪)、BLOOM GALLERY(大阪)、galleryMain(京都)、trace(京都)、Lumen gallery(京都)、Kobe 819 ギャラリー(神戸)
リブロアルテ、大隅書店、赤々舎、青幻舎、産業編集センター、GRAF Publishers、yunnci、CITY RAT press、加えて個人出展の皆様